心嚢ドレーンの概要
心タンポナーデ・心嚢液貯留の治療は心膜穿刺による排液(心嚢ドレナージ)が唯一の治療です。
ドレナージの目的としては、心囊液、心タンポナーデにおける貯留液を体外に排出させ、心房、心室の圧迫を解除するためです。
また、排液の性状などから原因探索に用いる場合もあります。

心タンポナーデ(病態生理・観察項目)心タンポナーデに対する病態生理・観察項目を紹介します。...
心嚢ドレーン観察項目
患者状態
- VS
- 呼吸状態
- 意識レベル
- 心タンポナーデの徴候
(血圧低下・心音減弱・静脈圧上昇) - 中心静脈圧
- 心電図波形
- 尿量
- 胸痛の有無や程度
- 挿入部痛の有無や程度
- 精神状態
ドレーン側
- 排液量、性状(色、匂い、混濁)
- 排液量、性状の変化
- カテーテル挿入部位の状態
(血腫や出血の有無、発赤・腫脹・びらん・疼痛・滲出液の有無、性状) - 挿入部位のドレッシング材の貼付状況。
- テープのずれや緩みの有無
(固定は2カ所以上で正しくされていること) - カテーテルのマーキング位置にずれがないか。
- カテーテル・三方活栓、排液チューブ、排液バック・排液ボトルが確実に接続されているか。
- 排液バッグ・排液ボトルが排液でいっぱいになっていないか。
- 排液バッグ・排液ボトルがカテーテル挿入部より低い位置にあるか。
- 排液チューブのねじれ・屈曲・圧迫の有無
- 排液チューブ内に排液の貯留がないか。
- 指示の吸引圧設定であるか。
看護ポイント
血圧管理
心嚢ドレーン留置中では特に、血圧管理が重要になってきます。
再出血の予防・増悪防止のために、血圧の上昇を避ける必要があります。
気管内吸引など血圧上昇をきたすケアは必要性を十分にアセスメントし最小限の頻度にとどめます。
また、疼痛の緩和・排便コントロールも血圧をコントロールする上では重要です。
ドレナージ
心嚢ドレーンは、大きな目的として血液や滲出液が貯留することを防ぐことです。
ドレーンからの出血・排液量が減少した場合は心嚢液の貯留が減少している徴候でもありますが、ドレーンの閉塞の可能性もあるため、心タンポナーデ徴候に注意します。
血液を多く含む滲出液の場合、閉塞を起こしやすいため、ミルキングを行い閉塞を予防します。
事故抜去予防
基本ですが、患者の精神状態は常に観察することが大切です。
心嚢ドレーン事故抜去予防のため、抑制・鎮静の必要性をアセスメントし必要であれば行う事が大切です。
抑制などは倫理問題の一つではありますが、今の患者にとって「最良」は何かを考えることがポイントです。

心嚢ドレーン(挿入介助・観察項目)心嚢ドレーンの挿入介助・観察項目・必要物品について紹介します。...